結論を3行で
1. 個人塾での動画授業運営は「撮影→アップロード→生徒への案内→進捗確認→フォロー」の5ステップで回せる
2. 最初から全授業を動画化しようとせず、欠席対応など「1つの用途」に絞ってスタートすることが継続の鍵
3. 運営を1人で抱え込まず、「誰が・いつ・何をするか」を簡単なメモ1枚で文書化しておくだけで形骸化を防げる
個人塾が動画授業を「続けられない」本当の理由

「動画を作ってみたけれど、結局使われなくなった」「最初の数本で力尽きてしまった」——個人塾や小規模な塾で動画授業の取り組みが続かない理由の多くは、機材や編集スキルの問題ではありません。
本当の原因は、運営フローを決めないまま始めてしまうことにあります。「動画を作る」ことと「動画授業として運営する」ことは別のことです。作った動画が生徒に届き、視聴され、学習に活かされるまでの流れを設計していないと、どれだけ良い動画を作っても「存在しているだけのコンテンツ」になってしまいます。
この記事では、個人塾や1〜3名のスタッフで運営している塾が、動画授業を無理なく続けられる運営フローを整理します。eラーニングサービスの導入を検討している方にも、まず自塾で運営が回る仕組みを作るための参考にしていただける内容です。
ステップ0:個人塾でまず「何のために動画を使うか」を1つだけ決める
運営フローを設計する前に、動画授業の用途を1つに絞ることが最初の仕事です。
「欠席した生徒に補講動画を届ける」「定期テスト前に復習動画を配信する」「予習用の解説動画を作る」——いずれも有効な使い方ですが、最初から全部やろうとすると、どれも中途半端になります。
個人塾で最も取り組みやすく、生徒・保護者からの反応も得やすいのは「欠席対応用の動画配信」です。授業後に録画した動画を1本アップロードするだけで、欠席した生徒が自分のペースで追いつける環境が整います。保護者からの「先日休んだ分は大丈夫でしょうか」という問い合わせが減るだけでも、運営の手間は実感として変わります。
まずこの1用途から始め、運用が安定してから用途を広げるのが、個人塾で続けられる動画授業の基本設計です。
個人塾の動画授業運営フローの5ステップ

用途が決まったら、以下の5ステップで運営フローを設計します。
ステップ1:撮影
授業中または授業後にスマートフォンで録画します。欠席対応用であれば、通常の授業をそのまま録画するだけで十分です。編集に時間をかける必要はなく、最低限の音声品質(外付けマイク使用推奨)が確保できていれば実用レベルになります。
撮影のタイミングは「授業中に回しておく」方式と「授業後に要点だけ撮り直す」方式の2つがあります。個人塾では、授業中に回しておくほうが手間が少なく続けやすいです。
ステップ2:アップロード
撮影した動画を配信システムにアップロードします。最初はYouTubeの限定公開やGoogle Driveでも始められますが、「誰が見たか」「どこまで見たか」を把握したい場合はLMS(学習管理システム)への移行を視野に入れます。
アップロードは授業当日中に行うことをルール化しておくと、欠席した生徒が翌日の自習に動画を使えます。「アップロードは授業翌日の午前中まで」など、自分が守れる締め切りを決めておくことが運用継続のポイントです。
ステップ3:生徒・保護者への案内
動画をアップロードしたら、生徒・保護者にその旨を伝えます。個人塾では、LINEや専用チャットツールで「本日の授業動画をアップしました」と一言送るだけで十分です。
欠席した生徒には個別に「今日の授業の動画を○○にアップしてあります。△日までに受講しておいてください」と連絡します。視聴期限を設けることで、生徒が先延ばしにするのを防げます。
ステップ4:視聴状況の確認
生徒が動画を受講したかどうかを確認します。YouTubeやGoogle Driveでは詳細な視聴履歴を把握するのが難しいため、学習管理システムを使っている場合は管理画面で受講状況を確認します。
個人塾でシステムがない場合は、簡易的な確認として「次回授業の冒頭で動画を見たか口頭で確認する」「見た感想や疑問点をLINEで送ってもらう」などの方法でも、受講状況をある程度把握できます。
ステップ5:未視聴者へのフォロー
受講していない生徒には、リマインドを送ります。「動画を見ましたか?見ていない場合は今週中に受講してください」という短いメッセージで十分です。
LMS(学習管理システム)を使っている場合は、未受講者への通知機能を活用することで、この作業を自動化できます。個人塾では手動でのリマインドになることが多いですが、それでも「送る」という行動そのものが受講率を上げる効果があります。
個人塾で動画授業を始めるために。週次の運営ルーティンを設計する

5ステップのフローを「週次のルーティン」として設計しておくと、動画授業の運営が日常業務に組み込まれ、継続しやすくなります。
| タイミング | やること | 所要時間の目安 |
|---|---|---|
| 授業当日 | 撮影・アップロード・生徒への案内 | 15〜30分 |
| 翌日〜2日後 | 受講状況の確認 | 5〜10分 |
| 週末 | 未受講者へのリマインド | 5分 |
| 月1回 | 動画の蓄積状況の確認・次月の計画 | 30分 |
このルーティンを守るために重要なのは、「完璧にやろうとしない」ことです。アップロードが翌日になった、リマインドを忘れた週があった——そういうことは起きます。「完璧にできない週があっても続ける」という姿勢が、長期的な運用の継続につながります。
個人塾での動画授業:運営フローをメモ1枚で文書化する

個人塾であっても、運営フローを文書化しておくことを強くおすすめします。理由は、自分が体調不良や急な外出で動けない日に、代わりの人が最低限の対応をできるようにするためです。
以下の項目をA4用紙1枚にまとめておくだけで十分です。
- 動画の保存場所(どのフォルダ・どのサービスに保存するか)
- アップロード先のURL・ログイン情報(安全な場所に保管)
- 生徒への案内方法(LINEのグループ名・送るメッセージのテンプレート)
- 受講確認のタイミングと方法
- リマインドを送る条件(何日経っても受講していない場合など)
このメモがあれば、急な事態でも第三者が対応できますし、自分自身が「次に何をすべきか」を迷わずに動けます。
個人塾がLMSを使うと何が変わるか

YouTubeの限定公開やGoogle Driveで始めた後、生徒数が増えてきたり、動画の本数が多くなってきたりすると、管理の手間が増えてきます。そのタイミングでLMS(学習管理システム)への移行を検討するのが現実的です。マナリウムがその一例です。
学習管理システムを導入すると、動画授業・課題・小テスト・受講者の進捗をひとつのeラーニングサービス上で一括管理できるようになります。講座ごとに受講状況をまとめて把握でき、手動でやっていた確認作業の多くを仕組みに任せられます。
視聴履歴の自動記録: 誰がどの動画をどこまで受講したかが管理画面で一目でわかります。手動での確認作業がなくなります。
未受講者への自動通知: 一定期間受講していない生徒に自動でリマインドを送れます。個別にLINEでフォローする手間が減ります。
講座・研修の一括管理: 複数の授業動画・課題・小テストを講座単位でまとめて管理でき、受講者ごとの進捗を一覧で確認できます。科目や学年をまたいだ研修的な運営も視野に入ります。
動画の外部流出防止: YouTubeの限定公開はURLを知っていれば誰でも見られますが、学習管理システムではログインしたアカウントからのみ受講できるため、授業動画の外部流出リスクを下げられます。
マナリウムは、Moodleをベースに塾・スクール向けに設計したeラーニングサービスで、個人塾でも少人数スタッフで運用できる設計になっています。導入支援も含めて提供しているため、学習管理システムの設定に詳しくない担当者でも導入できます。個人塾の動画授業運営に関するよくある質問
Q1. 動画の本数はどれくらいから始めればいいですか?
最初は週1〜2本から始めることをおすすめします。まず欠席が出た授業だけ録画するスタイルから始め、慣れてきたら定期テスト前の復習動画など用途を広げていくのが現実的です。
Q2. 生徒が動画を受講してくれない場合はどうすればいいですか?
まず「なぜ受講しないのか」の原因を確認することが先決です。ログイン方法がわからない、どこに動画があるかわからないという技術的な理由が多い場合は、次回授業の冒頭でログインから一緒にやってみる時間を取ると改善します。動画が長すぎる場合は1本を10分以内に収めることを検討してください。
Q3. 動画の著作権はどう考えればいいですか?
授業中に使用する教科書・問題集の内容を動画で解説することは、教育目的の非営利利用として一定の範囲で認められています。ただし、問題集の問題や図版をそのまま映す場合はグレーなケースもあるため、解説は口頭・手書きで行い、問題のテキスト自体は映さないようにすることが無難です。
Q4. 保護者から「動画受講でスマホ利用が増える」と言われた場合は?
学習目的の動画受講と遊びのスマホ利用を区別して説明することが大切です。学習管理システムを使っている場合は「どの動画をどこまで受講したかを塾側で把握しています」と伝えると保護者の安心感につながります。受講時間の目安(1本10分程度)を案内資料に明記しておくことも有効です。
個人塾で動画授業運営をスタートしよう

個人塾での動画授業運営は、5ステップ(撮影→アップロード→案内→確認→フォロー)のフローを設計し、週次のルーティンに組み込むことで無理なく継続できます。
最初から完璧を目指さず、欠席対応用の1用途から始めることが、長く続けられる運営の第一歩です。動画の本数が増えてきたら、学習管理システム(LMS)への移行を検討するタイミングです。受講履歴の自動管理や未受講者への自動通知など、手動でやっていた作業を仕組みで代替できるようになります。LMSの選び方や導入支援については、マナリウムの資料請求・お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
学習塾での動画授業については、
学習塾で動画授業を導入する完全ガイド|始め方・運営・失敗例まで
の記事でも詳しく解説しています。